2014年3月22日土曜日

米国インフラ・ファイナンス(6)(完)

その他メモ

  • シリアル債とターム債
    • ターム債(一括償還債) …満期までは定期的な利子の支払いのみで、元本は満期に一気にまとめて支払われるボンド。
    • シリアル債(連続償還債) …満期までは定期的な利子の支払いのみで、元本は満期に一気にまとめて支払われるという点はターム債と同じだが、単体のボンドではなく連続した何年かに渡って満期と異なる利率が設定された複数のボンド(それぞれに異なるCUSIP番号が割当られる)がセットで売り出される点が違う(と思う)。
    • シリアル債に含まれる複数のボンドに、異なる満期と異なる利率を設定する理由は、発行体がすでに追っている借金も合わせ、毎年の利払い・返済額が一定になるように調整するためである。
    • …実は、シリアル債の説明にはイマイチ自信がない。色々調べてみたものの、どれも曖昧な感じがして腑に落ちない。よって、上記は今のところ理解であって間違っているかもしれない。

  • 日本の地方債との違い
    • ネットで拾ってきたちょっと古い論文によると、日本の地方債発行は基本的に地方自治体、国、銀行の三者の関与で発行できるのに対し、米国の地方債(Municipal bond)には以下のような多数のプレーヤーの関与が必要となる。よく言えば透明性が高い、悪く言えば制度維持コストがかなりかかっている(一説ではボンド発行額の1割以上)ということになる。維持コストという意味では、米国地方債のほとんどが免税債であり、租税支出(=隠れた補助金支出)があることも抑えたい。
      • ボンド・カウンシル(法律顧問)  … 法律事務所
      • ファイナンシャル・アドバイザー  … 投資銀行など
      • テクニカル・アドバイザー       … エンジニアリング・コンサルタント会社
      • Underwriter(引受会社)      … 投資銀行など。ボンド発行と同時に一旦全部買い取った後、投資家へ営業をかけ売り込む役割。
      • Trustee(受託会社)          … 銀行。ボンド収入や元利支払いのための口座が置かれる。
      • 保険会社
      • 格付会社


 他チームの発表から

  •  ラスベガス市下水道事業
    • 前のエントリで、経済は成長しているだけでなく、成長を支える富の源泉が多様であることが重要と触れた。「ラスベガス」チームも、カジノだけでなく、観光業、飲食業といくつかの産業をリストアップし多様さを強調する発表を行った。観光業の指標としてホテル客室稼働率(Hotel occupancy rate)を使用。
    • ところが、「ラスベガス」ケースは質問者(投資家)チームが優秀で、『富の源泉が多様と言うが、すべてカジノ産業に大きく依存しており、かつどちらかと言うと収益性の低い産業ばかりで、必ずしも多様化のメリットが確保されているとは言えないのでは?』という一刀両断な質問をしていた。的確。
    • 質問者チームはさらに、虎の子のカジノ産業についても、ケースの設定年の翌年にマカオが外資開放する予定であることを指摘、対策を問うていた。その情報がケースに書いてあったのかどうかは分からないが、米国市場だけでなく国際的なカジノ市場を視野に入れた、これまた的確な質問だと思った。「ラスベガス市」チームは“ラスベガス”というブランド力があるから大丈夫と回答も、説得力に欠けるのは明らかだった。不意打ちだったんだろな。
    • 質問者チームは中国人2人のチームだったのだが、よく準備されており自分のとこに当たらなくてホント良かったわ~(笑 ちなみに、私たちの発表の質問チームはラテンアメリカ・チームで、質疑の雰囲気もどことなく明るくノリが良くて助かった。

  •  ニューヨーク市ヤンキース・スタジアム
    •  他のチームが上下水道、病院、空港など明らかに公共性が高い事業だったのに対し、「スタジアム」は娯楽施設であり、市発行のボンドを使う正当性から説明する必要があった。
    • このため、「スタジアム」チームはヤンキースがニューヨーク市民にとってどれだけ大事な存在かなどを説明したが、私が最もピンと来たのはスタジアムを単なる娯楽施設ではなく、「ニューヨーク市の成長ドライバの1つ」と説明した市長役のコメントだった。 つまり、観光業はニューヨークが抱える重要産業の1つであり(ここでもやはりホテル客室稼働率が引き合いに出されていた)、ヤンキース・スタジアムは観光客を惹きつける重要なアトラクションである、というわけである。うまい。
    • ちなみに、我がチーム同様、「スタジアム」チームの市長役も女性であった。どちらもいい意味で、ああ言えばこう言う政治家の貫禄があり笑ってしまった。



米国インフラ・ファイナンス(1)
米国インフラ・ファイナンス(2)
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