2014年3月31日月曜日
2014年3月30日日曜日
Bid
米国の大学では一般的なのかもしれないが、すべての選択科目は入札で競り落とさないといけない。入札でしくじると取りたい授業を受けられない可能性があるというわけだ(べらぼうな授業料を払っているにもかかわらず…)。わが校のルールは以下のようになっている。あまりに複雑で慣れないので、ルールを理解するためだけにクラス担当のもとへ3度も足を運んだのだった。
ルール
で、作戦は・・・
ルール
- 持ち点:2,000点(在校期間通じて)
- 受けたい科目に持ち点から好きなだけ賭けて、高得点の人から落札できる。ただし、(ここがややこしくかつ作戦を練らなきゃいけないポイントなのだが、)賭けた点数がそのまま持ち点から引かれるわけではないので注意が必要だ。
- 入札数が定員を上回っていた場合: 持ち点より落札価格(点数)が引かれる(賭け点ではない!)。たとえば、700点で入札して、落札価格(点数)が300点だったとしたら、400点は持ち点として手元に戻ってくる。
- 入札数が定員を下回っていた場合: 落札ポイントは1点と見做され、残りの賭け点はゼンブ手元に戻ってくる。つまり、まず定員割れで間違いなさそうな講義には一桁より大きい点数を賭ける必要はなく、いかに余った分を人気講義の入札に回すかが思案のしどころとなる。
- 2年間で計4学期あるが、最初の学期は必修科目のみなので、実質全部で3学期である。1学期に取れる選択科目の数は以下のとおり。単純計算で1コマ当り平均100点賭けられる計算だが、通常は100点も賭ければほとんどの講義を競り落とすことが出来る。持ち点は十分に与えられていると考えてよい。
- 1年春学期:2-4
- 2年秋学期:6‐8
- 2年春学期: 6‐8
- ただし、落札出来ない可能性を考えて、 上記のコマ数以上の講義に入札することが出来る。
- 3ラウンド制+α
- 入札は3回行われ、第2ラウンド、第3ラウンドはその時点で定員に達していない講義のみが入札対象となる。講義によっては、特定の学年に優先権が設定されているものもあり、その場合、優先権のない学年は第2ラウンド以降の参戦となる。
- 残席が少なくなればなるほど、当然、落札価格は上がっていく。人気講義の第2、第3ラウンドの落札価格は700点とか1000点といったオーダーになるので、在校中1回か2回しか使えない荒業だ。
- しかし、ここで無理して大枚をはたかなくても人気講義を取れるかもしれない裏技が実はある。それが、入札プロセス完了後に設けられたAdd&Dropという調整期間だ。
- Add & Drop
- ほとんどの人がちょっと多めに落札しているので、最終的にどの講義を受講したいかを取捨選択する期間。また、空きがあれば新たに受講科目を追加(Add)することもできる。ここで注目すべきは、
- 誰かが受講権利を放棄するということは(Drop)、第3ラウンドまでは定員満杯の表示だったクラスに、空きが出る可能性があるということ。
- Add & Drop期間中の受講科目追加(Add)には、1ポイントも必要ない。言うなれば、タダなのである!
- そして、不思議なことに、Add & Drop期間の開始時に、第3ラウンドまでは満杯だった(かつ、まだAdd & Dropの調整期間を経ていない)クラスに1,2席の空席があるケースが散見される(理由は不明)。これはつまりAdd & Drop開始時刻と同時にシステムにログインすれば、最後の1席に1ポイントも使わず滑り込める可能性があるということだ。
- 以上は、今学期のValuationのクラスの席を獲得した際の経験則に基づく(最後の一席だった)。
- Add & Drop期間中に、定員満杯のクラスのWait List(キャンセル待ち)に名前を載せることが出来る。
で、作戦は・・・
- 絶対に取りたい講義には、第1ラウンドでべらぼうな点数を積む。人気講義で第1ラウンドの落札価格300点台といったところなので、どうしても取りたいなら倍は積むかな、私なら。どうせ落札価格以外は手元に戻ってくるのだから、持ち点減少を気にして小さくならないことが肝要。
- 逆に、まず定員割れで間違いない講義には、せいぜい10点も積めば十分。
- (優先権が無いなどの理由で)第2ラウンド以降に人気講義を取りに行く時は、大量点を積んで競り落とすのか、あるいはAdd & Dropの一瞬の勝負に賭けるのか、持ち点の残りを見ながら検討する。
- Wait List(キャンセル待ち)でも案外順番が回ってくるので、最後まであきらめない。ただし、Wait Listの場合最初の1-2回講義を逃してしまう可能性が大なのが難点で、私は今学期繰り上げで権利が回ってきた講義を結局取らなかった。
2014年3月26日水曜日
Tax
開発の文脈で語られる民間投資の意義といえば、雇用創出と税源確保の2点がよく挙げられる。国家にとって税金とは、企業の損益計算書(Income StatementまたはP/L)の一番最初の行に出てくるRevenueみたいなものだ。企業は収益をすべて株主配当するのではなく、一部取り置いて(内部留保、Retained Earnings)再投資に回すことで成長を実現し企業価値を高める。同様に、国家も必要経費を差し引いて残った分を再投資しないと経済成長出来ない。税金は公務員を喰わすためだけにあるのではなく、再投資の資金源であるという意味で重要なのだ。
安定した税収のためには、公平感のある制度設計だけでなく、ルール通りに徴収できることが重要だ。これが案外むずかしくて、個人的に開発の現場で見聞きした範囲に限っても、大地主や大口ビジネス事業者が堂々と脱税していた例というのは複数思い浮かぶ。
2012年、小売業世界最大手のウォルマートが、メキシコ進出にあたり地元市役所へ恒常的に(そして恐らく組織的に)賄賂をおくっていたことが問題となった。スケープゴートにされたウォルマート現地担当者の言い分は『我われは時間を買っただけ』――つまり、事業認可取得を早めるのが目的だったとコメントしている(ウォルマートは彼一人の問題として処理し幕引きを図ろうとした)。確かに、国によっては、通常より少し多めに払うことで、優先手続きしてもらえる制度を持っている場合もあろう。賄賂と制度化された優先手続と、カネを払って時間を買うという意味では同じことなのに、どうして賄賂だけが違法なのか。
(公務員は公僕だからという倫理的な建前はさておき、)税収という観点から見ると、制度化された手続の対価は公金となるのに対し、賄賂は役人のポケットにしか入らない、という点が大きく違う。
安定した税収のためには、公平感のある制度設計だけでなく、ルール通りに徴収できることが重要だ。これが案外むずかしくて、個人的に開発の現場で見聞きした範囲に限っても、大地主や大口ビジネス事業者が堂々と脱税していた例というのは複数思い浮かぶ。
◇ ◆ ◇
2012年、小売業世界最大手のウォルマートが、メキシコ進出にあたり地元市役所へ恒常的に(そして恐らく組織的に)賄賂をおくっていたことが問題となった。スケープゴートにされたウォルマート現地担当者の言い分は『我われは時間を買っただけ』――つまり、事業認可取得を早めるのが目的だったとコメントしている(ウォルマートは彼一人の問題として処理し幕引きを図ろうとした)。確かに、国によっては、通常より少し多めに払うことで、優先手続きしてもらえる制度を持っている場合もあろう。賄賂と制度化された優先手続と、カネを払って時間を買うという意味では同じことなのに、どうして賄賂だけが違法なのか。
(公務員は公僕だからという倫理的な建前はさておき、)税収という観点から見ると、制度化された手続の対価は公金となるのに対し、賄賂は役人のポケットにしか入らない、という点が大きく違う。
◇ ◆ ◇
米国では、収入のない留学生も例外なく納税申告をしなければならない。徴税システムは基本的に全員から徴税することを前提としており、免税ステータスがある場合でも都度権利を主張しなければ課税される。興味深いのは、たとえ収入があって源泉徴収されている場合でも、源泉徴収には通常過不足があり、修正申告は(会社に勤めている場合であっても)あらてめて個々人でしなければならないのだとか。利用者に負担を押し付ける米国流の典型と言っていいかと思うし、あわよくば申告漏れで徴税出来たらラッキーくらいに思っているのが透けて見える制度だと思うが、どうか。
2014年3月24日月曜日
2014年3月23日日曜日
2014年3月22日土曜日
米国インフラ・ファイナンス(6)(完)
その他メモ
他チームの発表から
米国インフラ・ファイナンス(1)
米国インフラ・ファイナンス(2)
米国インフラ・ファイナンス(3)
米国インフラ・ファイナンス(4)
米国インフラ・ファイナンス(5)
- シリアル債とターム債
- ターム債(一括償還債) …満期までは定期的な利子の支払いのみで、元本は満期に一気にまとめて支払われるボンド。
- シリアル債(連続償還債) …満期までは定期的な利子の支払いのみで、元本は満期に一気にまとめて支払われるという点はターム債と同じだが、単体のボンドではなく連続した何年かに渡って満期と異なる利率が設定された複数のボンド(それぞれに異なるCUSIP番号が割当られる)がセットで売り出される点が違う(と思う)。
- シリアル債に含まれる複数のボンドに、異なる満期と異なる利率を設定する理由は、発行体がすでに追っている借金も合わせ、毎年の利払い・返済額が一定になるように調整するためである。
- …実は、シリアル債の説明にはイマイチ自信がない。色々調べてみたものの、どれも曖昧な感じがして腑に落ちない。よって、上記は今のところ理解であって間違っているかもしれない。
- 日本の地方債との違い
- ネットで拾ってきたちょっと古い論文によると、日本の地方債発行は基本的に地方自治体、国、銀行の三者の関与で発行できるのに対し、米国の地方債(Municipal bond)には以下のような多数のプレーヤーの関与が必要となる。よく言えば透明性が高い、悪く言えば制度維持コストがかなりかかっている(一説ではボンド発行額の1割以上)ということになる。維持コストという意味では、米国地方債のほとんどが免税債であり、租税支出(=隠れた補助金支出)があることも抑えたい。
- ボンド・カウンシル(法律顧問) … 法律事務所
- ファイナンシャル・アドバイザー … 投資銀行など
- テクニカル・アドバイザー … エンジニアリング・コンサルタント会社
- Underwriter(引受会社) … 投資銀行など。ボンド発行と同時に一旦全部買い取った後、投資家へ営業をかけ売り込む役割。
- Trustee(受託会社) … 銀行。ボンド収入や元利支払いのための口座が置かれる。
- 保険会社
- 格付会社
他チームの発表から
- ラスベガス市下水道事業
- 前のエントリで、経済は成長しているだけでなく、成長を支える富の源泉が多様であることが重要と触れた。「ラスベガス」チームも、カジノだけでなく、観光業、飲食業といくつかの産業をリストアップし多様さを強調する発表を行った。観光業の指標としてホテル客室稼働率(Hotel occupancy rate)を使用。
- ところが、「ラスベガス」ケースは質問者(投資家)チームが優秀で、『富の源泉が多様と言うが、すべてカジノ産業に大きく依存しており、かつどちらかと言うと収益性の低い産業ばかりで、必ずしも多様化のメリットが確保されているとは言えないのでは?』という一刀両断な質問をしていた。的確。
- 質問者チームはさらに、虎の子のカジノ産業についても、ケースの設定年の翌年にマカオが外資開放する予定であることを指摘、対策を問うていた。その情報がケースに書いてあったのかどうかは分からないが、米国市場だけでなく国際的なカジノ市場を視野に入れた、これまた的確な質問だと思った。「ラスベガス市」チームは“ラスベガス”というブランド力があるから大丈夫と回答も、説得力に欠けるのは明らかだった。不意打ちだったんだろな。
- 質問者チームは中国人2人のチームだったのだが、よく準備されており自分のとこに当たらなくてホント良かったわ~(笑 ちなみに、私たちの発表の質問チームはラテンアメリカ・チームで、質疑の雰囲気もどことなく明るくノリが良くて助かった。
- ニューヨーク市ヤンキース・スタジアム
- 他のチームが上下水道、病院、空港など明らかに公共性が高い事業だったのに対し、「スタジアム」は娯楽施設であり、市発行のボンドを使う正当性から説明する必要があった。
- このため、「スタジアム」チームはヤンキースがニューヨーク市民にとってどれだけ大事な存在かなどを説明したが、私が最もピンと来たのはスタジアムを単なる娯楽施設ではなく、「ニューヨーク市の成長ドライバの1つ」と説明した市長役のコメントだった。 つまり、観光業はニューヨークが抱える重要産業の1つであり(ここでもやはりホテル客室稼働率が引き合いに出されていた)、ヤンキース・スタジアムは観光客を惹きつける重要なアトラクションである、というわけである。うまい。
- ちなみに、我がチーム同様、「スタジアム」チームの市長役も女性であった。どちらもいい意味で、ああ言えばこう言う政治家の貫禄があり笑ってしまった。
米国インフラ・ファイナンス(1)
米国インフラ・ファイナンス(2)
米国インフラ・ファイナンス(3)
米国インフラ・ファイナンス(4)
米国インフラ・ファイナンス(5)
2014年3月18日火曜日
米国インフラ・ファイナンス(5)
プレゼン内容から(担当以外)
- 経済概況
- 1人当たりGDPだけでなく、 富の源泉が多様な産業にばらけていることにも言及。ひとつの産業に依存し過ぎると、その産業が倒れた場合(たとえば工場閉鎖など)、税収減や雇用減という形で市も一緒に倒れてしまい、借金も返せなくなるが、多様な産業を抱えていればそのリスクは低くなる。
- チームメイトはこれを"Low concentration risk"と表現していた。
- 市の財政状況
- 市はNon-profitなので、Equity(株式)は発行できない。バランスシートにあるのはAssetsとLiabilitiesだけである。
- Capital AssetsとLong-term Liabilitiesがマッチしていることを示す。日々の運営費は売上や税収など流動性の高い収入源から賄い、大規模な設備投資は長期的な借入をして賄う。流動性がマッチしている(to match maturities)ことが重要。自分なりに噛みくだいてみるために、仮にミスマッチがあった場合を考えてみると:
- 大規模インフラ建設の資金源に、売上や税収といった年ごとに金額が変化しやすい(=流動性が高い)ものを充てると、年によって過不足が生じやすくなり、不足した年は工事が止まるなどしてしまうため都合が悪い。
- 従って、長期の工事が見込まれる場合は、長いこと借りっぱなしに出来る借金(=Long-term debt)で資金手当てするのが適当である。
- 逆に、日々の運営コストは、工事費用などに比べはるかに調節しやすいものなので(たとえば、文具を節約するとか、出張手当を削減するとか)、流動性の高い収入源を充てることで問題ない。
- デフォルトリスク(市が借金を踏み倒すリスク)を説明するためにRevenue Bond Coverageという指標を使用。ある年の収入見込み額が、その年に返済予定の借金の何倍あるかを示す指標で、1倍以上で可、2倍以上で良、3倍以上で優なんだそうだ。
- プロジェクトの財務分析
- ボンドの償還財源(=借金返済資金)は水道局の将来の収益(Revenue)なので、需要予測をして売上を見積もるのがテッパンだ。(売上)=(利用者数)×(水道料金)。
- ただし、今回のケースではニューヨーク市水道利用者が近年微減傾向にあり、収益増のために水道局は毎年水道料金を上げていた。このパターンは開発途上国ではまずないことなので、興味深かった。つまり、人口(=利用者数)はいつも右肩上がりだし、公共料金を上げ続ければ直ちに財布が追い付かない顧客を失ううえに、たぶん政治的にも難しい。
- 質疑応答で『利用料金を毎年あげ続けるのは、持続性およびモラルの面で如何なものか』という質問が出たが、”市長”から、それは金額にすれば数ドルのことでニューヨーク市民の平均年収を考えれば微々たるものに過ぎず、かつ、そのお金は水道システム改善を通じて利用者に利益還元しているため理解も得られていると認識、と回答。堂々としたものだった(笑
- 『水道システム改善10か年計画』の支出予定と、ボンド償還予定(毎年1.6十億ドルでほぼ一定)を示し、計画的に支出していることを説明。
- ボンド発行条件(発行額、種類、償還期間、利率、オプション)
- 発行額: 5億4,181万ドル
- うち、 シリアル債 …2億9,184万ドル
- うち、 ターム債 …2億5,000万ドル
- ボンドの種類: レベニュー債 (…償還財源はボンド借入金で行う事業の収益)
- 償還期間:シリアル債[連続償還債]とターム債[一括償還債]の組み合わせ
- シリアル債…1~20年間のいずれかを選択
- ターム債 …29年間(1億ドル)か30年間(1.5億ドル)
- 利率[Interest rate]と利回り[Maturity]
- シリアル債…利率2.5~5%、利回り0.49~4.19%(期間に応じて異なる)
- ターム債 …利率5%、利回り5.20%
- 発行体は10年目以降、繰り上げ償還をしてもいい権利を持つ(オプション)
- 発行体は償還期間30年間のターム債(1.5億ドル)を一部または全部を、減債基金(Sinking fund)を使って繰り上げ償還する権利を持つ
- 借入金の使途
- 建設基金積立 … 4,067万5,253ドル
- 借換債積立(Refunding bond) …3億1,592万7,787ドル*
- 短期約束手形支払(Commercial paper notes) …2億 3万9,359ドル*
- 引受会社手数料 … 285万 114ドル
- ボンド発行手数料 … 39万1,217ドル
- ボンド収入合計 …5億5,988万3,730ドル
- 発行時プレミアム … 1,807万3,730ドル
- 発行ボンド額面価格 …5億4,181万 ドル
- 上記の通り、ボンド発行による借入金のうちほとんどの部分(青字部分、92%)が既存の別の借金を借り換え(=借金で借金を返す)ための資金であり、金利が下がり続けているというマーケット事情が背景にある。
- 当初、ファイナンスの彼が『事業の内容など興味ない』と言い放った理由はここにあり、彼の言い分としては今回借り換えるボンドの格付けは高く、 また発行時に十分なデューデリジェンスも行ったであろうから、今回改めて事業内容を精査する必要はない、というロジックだった。
- 確かに、事業の存在意義を根本から改めて問うよな精査は不要に思われたが、一方で付け替えた借金が何に使われるかぐらいは投資家だって知りたいのではないかと思った。私以外のチームメイトもそれには賛同してくれたし、教授がわざわざエンジニアリング・アドバイザーを置いたのも同じ理由だった。
- 厄介だったのは、そのことを知るための情報が分厚い文書の各所に分散しており、資金の流れを数字で追うのに時間がかかったが、集めた情報のピースを集約してみると、実は青字部分のほとんどが最終的に建設基金に積み立てられることが分かった。建設基金とは『10か年計画』の事業資金である。ここまで追ってみて、はじめて、今次のボンドが『10か年計画』実施のための事業資金を集めるために起債されるものであることがハッキリするのである。
- 他チームのボンドにも借換債が頻繁に登場したが(全米で金利が下がっているのだから当然だ)、そのお金が最終的に何に使われるのかひと言でも言及したチームは我われ以外に無く、差別化のポイントとなったと思う。
- 法的拘束力
- レベニュー債の償還財源は事業収益(Revenue)なので、借金を返すアテとしてこの事業収益をちゃんと取り置いといてもらわないと困る。このためニューヨーク市水道局の事業収益使途には法的拘束力のある優先順位が設けられており、その順番に資金配分をしないといけないことになっている。
- 今次起債のボンドは8段階ある優先順位の6項目めに当たり、優先順位は高くないものの、Revenue Bond Coverageが3倍以上あることから、きちんと資金手当てされる見込みであることが分かる。
米国インフラ・ファイナンス(1)
米国インフラ・ファイナンス(2)
米国インフラ・ファイナンス(3)
米国インフラ・ファイナンス(4)
米国インフラ・ファイナンス(5)
米国インラフ・ファイナンス(6)(完)
2014年3月17日月曜日
天然ガス
先週の集中講義で取り上げられていたのだが、シェールガス革命の結果、天然ガスの価格は100万BTU当たり米国内およそ3-4ドルに対し、それ以外の世界では16ドル前後なんだそうである。当然、エネルギー会社は輸出したがっている。一方、米国内の製造業者は輸出すれば米国市場の価格が上がるので(供給が下がると、価格が上がる)、輸出に反対してきた。
さて、ロシアがウクライナやヨーロッパへのエネルギー供給を止めた場合、得をするのは誰なのか、ということだ。ロシアは散々脅してはいるものの、欧州市場への供給は重要な外貨獲得手段のため、実際そう簡単には止められないだろうと言われている。一方アメリカでは、年末から天然ガス価格が上がり始め、ウクライナ情勢が目に見えて悪化した先月は6ドル前後だったようだ。「いよいよ輸出キタ━━━━ヽ(゚∀゚ )ノ━━━━!!!!」と思っている人たちが大勢いるのは間違いない。
オバマ大統領としても、ロシアに『じゃあ天然ガス供給止めるわ』と言わせるまでは頑張るのではないか。そうすれば欧州に恩とガスを売れ、“困った欧州を助けた”ヒーローにもなれる。エネルギー業界とヒーローに弱い大衆に支持され、今年11月の中間選挙も明るい気持ちで臨めるはず――とか思ってるんじゃないかな~。
さて、ロシアがウクライナやヨーロッパへのエネルギー供給を止めた場合、得をするのは誰なのか、ということだ。ロシアは散々脅してはいるものの、欧州市場への供給は重要な外貨獲得手段のため、実際そう簡単には止められないだろうと言われている。一方アメリカでは、年末から天然ガス価格が上がり始め、ウクライナ情勢が目に見えて悪化した先月は6ドル前後だったようだ。「いよいよ輸出キタ━━━━ヽ(゚∀゚ )ノ━━━━!!!!」と思っている人たちが大勢いるのは間違いない。
オバマ大統領としても、ロシアに『じゃあ天然ガス供給止めるわ』と言わせるまでは頑張るのではないか。そうすれば欧州に恩とガスを売れ、“困った欧州を助けた”ヒーローにもなれる。エネルギー業界とヒーローに弱い大衆に支持され、今年11月の中間選挙も明るい気持ちで臨めるはず――とか思ってるんじゃないかな~。
2014年3月15日土曜日
米国インフラ・ファイナンス(4)
プレゼン資料(担当分)
実際に使用した、エンジニアリング・アドバイザー部分の発表スライドを自己満足大公開(笑!プロジェクト関連資料の関連箇所は20ページ程あったが、なるべくストーリー性を持たせることを心がけ、3枚のスライドに集約した。『ニーズが見えるような水道システム概要紹介→問題点の指摘→解決策の提示→リスクと緩和策』という流れにして、融資対象プロジェクト(『10か年計画』)の必要性を訴えたつもりなのだが、どんなものだろうか。
米国インフラ・ファイナンス(1)
米国インフラ・ファイナンス(2)
米国インフラ・ファイナンス(3)
米国インフラ・ファイナンス(4)
米国インフラ・ファイナンス(5)
米国インラフ・ファイナンス(6)(完)
実際に使用した、エンジニアリング・アドバイザー部分の発表スライドを自己満足大公開(笑!プロジェクト関連資料の関連箇所は20ページ程あったが、なるべくストーリー性を持たせることを心がけ、3枚のスライドに集約した。『ニーズが見えるような水道システム概要紹介→問題点の指摘→解決策の提示→リスクと緩和策』という流れにして、融資対象プロジェクト(『10か年計画』)の必要性を訴えたつもりなのだが、どんなものだろうか。
- イントロ: ニューヨーク市の人口は850万人。水の供給には安全性、効率性、持続性が欠かせません。
- 水供給キャパ: ニューヨーク市は60年代の史上最悪レベルの干ばつにも耐えるなど十分な水源を持ち、水質も環境保護庁から『フィルター不要』と認定されるほど良質です。
- インフラ規模と問題点: 水源から各戸に水を供給する配水管は、トンネル300㎞、上水道パイプ1万1000㎞、下水道パイプ1万2000㎞にもなります。これだけのインフラを良好な状態に保つには、当然のことながら常時一定の維持管理活動を行う必要があります。とりわけ上下水道のトンネルやパイプは築後100年を経過したものが2-3割にものぼり、破損による漏水や汚染が懸念されています。
- 問題点への対処: このためニューヨーク市水道局では、既存トンネルを送水停止のうえメンテできるよう、2カ所でバックアップ用の迂回トンネルを建設中です(地図中の赤部分)。また、安全性を高めるため下水処理施設の改修も行っています。私たちは、この規模のインフラの維持管理には世代をまたぐような長期的な取り組みが不可欠であると認識しています。
- 融資対象の紹介: (前のスライドの「問題点への対処」を受ける形で、)具体的には『水道システム改善10か年計画』(総額140億ドル)を策定し、長期的見通しを持ってこの問題に取り組んでいます。ご覧いただけますように、資金の半分を水質汚濁対策と上水道システム改善に充てています。
- これだけの大金をどうやってファイナンスするのかについては、後ほどニューヨーク市CFOからご説明さしあげます。
- 小ネタ(Fun fact): ちなみに、上の写真は20世紀初頭マンハッタンに建設されたトンネル1の工事風景、下の写真は現在建設中のトンネル3になります。トンネル3はトンネル1の迂回トンネルとなっており、トンネル1はトンネル3の完成次第、送水を停止して大規模なメンテが実施される予定です。
- 最後に、計画実施上のリスクと緩和策についてご説明します。時間の都合上全部には触れませんが、一点ニューヨークならではのリスクについて触れておきます。
- リスクの事例紹介: それはテロ・リスクです。私たちはとりわけ、水質が良好であるがゆえにフィルターを通していない上水道が、テロリストの攻撃対象となることを恐れています。すなわち、水源地に有害物質が投棄されるような場合、現在のシステムでは浄化されることなく蛇口まで届いてしまいます。
- 緩和策の紹介: この点に対処するため、ニューヨーク市水道局では先の『水道システム改善10か年計画』にガードマンの増員や、異常を察知・通報する機器の導入を盛り込んでいます。
- 次の発表者へのつなぎ: エンジニアリング面のご説明は以上です。引き続き、140億ドルの融資計画について、ニューヨーク市CFOからご説明いたします。
◇ ◆ ◇
とまあ、実は、前職関係者が見ればなんてことない、よく見かけるようなプレゼンをしたわけだが、教授からもクラスメートからも『分かりやすい!』と好評だった。とりあえずきっちりチームに貢献できてホッとしたわけだが、このプレゼンからの学び(takeaway)という意味では、チームメイトたちの担当部分から勉強させてもらったところが大きかった。
米国インフラ・ファイナンス(1)
米国インフラ・ファイナンス(2)
米国インフラ・ファイナンス(3)
米国インフラ・ファイナンス(4)
米国インフラ・ファイナンス(5)
米国インラフ・ファイナンス(6)(完)
米国インフラ・ファイナンス(3)
プレゼン構成
チーム内であらかじめ指定された役職のロールプレイをすることが求められたため、それぞれの職務内容を参考に内容を組み立てた。プレゼン準備の中でここが一番時間かかったし、出身業界の違いから意見対立する場面も多かった。一般論として特にファイナンス出身者は自信満々で論破するのに骨が折れるタイプが多いように思うが、今回はチーム内に国際協力のインフラ畑出身者がもう1人いたので、心強かったし必要以上にdefensiveにならなくていいという点で気楽だった。
1、ニューヨーク市長(コンサル出身米国人)
意見相違があった点
よりによって私の担当箇所であるエンジニアリング・アドバイザーの扱いをめぐって意見が真っ二つに割れ、なかなか執筆作業に入れなかった。開発業界出身の我われからすると、マクロな視点から入り個別案件の話に落としていく上記のような構成は極めてスタンダードなものであるし、融資対象案件の説明もある程度の分量を割いて行うのが当然という感覚だ。一方、ファイナンス出身の彼に言わせると、投資家の唯一の関心はボンドが確実に利益を上げるか否かなのであり(=格付けやデフォルトリスク)、エンジニアリング面の説明は不要とのことだった。
確実なリターンのためには、融資案件内容が健全で収益性のあるものでなくてはならないはずだというのが我われの言い分だったが、その点をいくら説明しても首を縦に振ってくれない。最後はやむなく、教授の助言という“奥の手”を使いやっと納得させたのであった。
手前ミソな後日談だが、今日行われた各チームの最終プレゼンを見てみて、実際これらの点をどう扱うかがプレゼンの分かり易さを大きく左右していたように思った。
というのも、与えられたプロジェクト関連資料では、いずれも冒頭にボンド発行条件の説明があり、借入金使途や融資対象案件については中ほどになるまで出て来ず、かつ場合によってはひどく断片的だったり具体的内容が分かりにくい記述しかなかったりした。このため、ほとんどのチームはそれに引きずられ、ボンドの説明から入り、案件内容には後半になるまで触れないか、あるいは全く触れないかという構成だった。多分ファイナンス出身の彼も同じ発想だったんだろうなと思う。
しかしその場合、何にお金が必要で、どうして起債したいのか、という基本的なストーリーが見えないままに『このボンドいいですよ!買ってください』というセールストークを聞かされるわけなので、どうしてもイマイチ説得力に欠ける印象だった。中には最後まで融資対象がよく分からない発表もあり、前のエントリを書くために(つまり、たったひと言内容を説明するだけなのに)彼らが使った分厚いプロジェクト関連資料をわざわざ参照する必要があったくらいだ。
米国インフラ・ファイナンス(1)
米国インフラ・ファイナンス(2)
米国インフラ・ファイナンス(3)
米国インフラ・ファイナンス(4)
米国インフラ・ファイナンス(5)
米国インラフ・ファイナンス(6)(完)
チーム内であらかじめ指定された役職のロールプレイをすることが求められたため、それぞれの職務内容を参考に内容を組み立てた。プレゼン準備の中でここが一番時間かかったし、出身業界の違いから意見対立する場面も多かった。一般論として特にファイナンス出身者は自信満々で論破するのに骨が折れるタイプが多いように思うが、今回はチーム内に国際協力のインフラ畑出身者がもう1人いたので、心強かったし必要以上にdefensiveにならなくていいという点で気楽だった。
1、ニューヨーク市長(コンサル出身米国人)
- 経済概況
- 水道の重要性
- ボンド概要
- 水道システム概要
- システム改修10カ年計画
- リスクと緩和策
- 市の信用力格付け
- 市の財政状況
- プロジェクトの財務分析
- ボンド発行条件(償還期間、利率、オプション)
- 借入金の使途
- 法的拘束力
意見相違があった点
よりによって私の担当箇所であるエンジニアリング・アドバイザーの扱いをめぐって意見が真っ二つに割れ、なかなか執筆作業に入れなかった。開発業界出身の我われからすると、マクロな視点から入り個別案件の話に落としていく上記のような構成は極めてスタンダードなものであるし、融資対象案件の説明もある程度の分量を割いて行うのが当然という感覚だ。一方、ファイナンス出身の彼に言わせると、投資家の唯一の関心はボンドが確実に利益を上げるか否かなのであり(=格付けやデフォルトリスク)、エンジニアリング面の説明は不要とのことだった。
確実なリターンのためには、融資案件内容が健全で収益性のあるものでなくてはならないはずだというのが我われの言い分だったが、その点をいくら説明しても首を縦に振ってくれない。最後はやむなく、教授の助言という“奥の手”を使いやっと納得させたのであった。
- エンジニアリング面の説明深度
- インフラ出身:融資対象案件内容について当然説明する必要アリ
- ファイナンス出身:投資家の関心外なので、説明は不要
- 借入金使途説明の要否
- 他全員:自分が購入するボンドが何に使われるのか、投資家として知りたい
- ファイナンス出身:リターンが稼げればそれでいいので、使途には興味ない
- 構成の順番
- 当初案では、投資銀行を市長の次に置いていたが、『概要→案件説明→どうやってファイナンスするか』という流れの方が分かりやすいということで途中で変更。
- 私は元々後者を希望していたので、チームが構成順で悩みだした時、すかさず提案、後者の方が開発案件ではごく一般的である点にも言及して、すんなり採用された。
手前ミソな後日談だが、今日行われた各チームの最終プレゼンを見てみて、実際これらの点をどう扱うかがプレゼンの分かり易さを大きく左右していたように思った。
というのも、与えられたプロジェクト関連資料では、いずれも冒頭にボンド発行条件の説明があり、借入金使途や融資対象案件については中ほどになるまで出て来ず、かつ場合によってはひどく断片的だったり具体的内容が分かりにくい記述しかなかったりした。このため、ほとんどのチームはそれに引きずられ、ボンドの説明から入り、案件内容には後半になるまで触れないか、あるいは全く触れないかという構成だった。多分ファイナンス出身の彼も同じ発想だったんだろうなと思う。
しかしその場合、何にお金が必要で、どうして起債したいのか、という基本的なストーリーが見えないままに『このボンドいいですよ!買ってください』というセールストークを聞かされるわけなので、どうしてもイマイチ説得力に欠ける印象だった。中には最後まで融資対象がよく分からない発表もあり、前のエントリを書くために(つまり、たったひと言内容を説明するだけなのに)彼らが使った分厚いプロジェクト関連資料をわざわざ参照する必要があったくらいだ。
米国インフラ・ファイナンス(1)
米国インフラ・ファイナンス(2)
米国インフラ・ファイナンス(3)
米国インフラ・ファイナンス(4)
米国インフラ・ファイナンス(5)
米国インラフ・ファイナンス(6)(完)
米国インフラ・ファイナンス(2)
プロジェクト
課題
各グループは上記プロジェクトから1つを選び、さらにSellサイド/Buyサイドのどちらかを選ぶ。いずれのプロジェクトも主要財源は地方自治体発行のボンドで賄うことになっており、Sellサイドは投資家にボンドを買ってもらうためのプレゼンを、Buyサイドは投資家になりきってプレゼン後の質問を行う。持ち時間は20‐25分ずつ。
なお、与えられたプロジェクトはいずれも最近の実例である。
プロジェクト選択
初日の午前中に好きなプロジェクトを選択できたが、その時点では上記のようなプロジェクトのリストしか与えられず、具体的なプロジェクト関連情報は各プロジェクトのメンバーが出揃ってから配布された。つまり、十分な情報がないまま選択しなければならなかったのだが、以下の理由からNYC水道局を選択した。また、プレゼンはSellサイドだけが行うルールだったので、迷わずSellサイドを選択した(その方が勉強になるだけでなく、成績評定の10%を占めるClass participationのポイントを稼ぎやすいとの判断)。
米国インフラ・ファイナンス(1)
米国インフラ・ファイナンス(2)
米国インフラ・ファイナンス(3)
米国インフラ・ファイナンス(4)
米国インフラ・ファイナンス(5)
米国インラフ・ファイナンス(6)(完)
- アトランタ空港 …空港ターミナルの増改修
- バージニア州北部病院 …病院施設・設備の更新・改善
- NYC水道局 …上下水道施設・設備の増改修
- ラスベガス市下水処理 …下水処理設備の増改修
- ヤンキース・スタジアム …新スタジアム建設
課題
各グループは上記プロジェクトから1つを選び、さらにSellサイド/Buyサイドのどちらかを選ぶ。いずれのプロジェクトも主要財源は地方自治体発行のボンドで賄うことになっており、Sellサイドは投資家にボンドを買ってもらうためのプレゼンを、Buyサイドは投資家になりきってプレゼン後の質問を行う。持ち時間は20‐25分ずつ。
なお、与えられたプロジェクトはいずれも最近の実例である。
プロジェクト選択
初日の午前中に好きなプロジェクトを選択できたが、その時点では上記のようなプロジェクトのリストしか与えられず、具体的なプロジェクト関連情報は各プロジェクトのメンバーが出揃ってから配布された。つまり、十分な情報がないまま選択しなければならなかったのだが、以下の理由からNYC水道局を選択した。また、プレゼンはSellサイドだけが行うルールだったので、迷わずSellサイドを選択した(その方が勉強になるだけでなく、成績評定の10%を占めるClass participationのポイントを稼ぎやすいとの判断)。
- ボンドの償還財源は各事業の収入(Revenue)から充てられるので(レベニュー債という)、常時安定した収入が見込めるものを優先。NYC水道局かアトランタ空港に絞る。
- プレゼンしやすそうで、かつdefendもしやすそう、という理由からNYC水道局がベストと判断。 業界用語っぽく言えば、プロジェクトのニーズ説明(justification)と需要予測が比較的容易な案件を選んだ。
- 空港はランディングフィー、ターミナルフィー、ゲート代、飲食店・ショップの場所代等々見るからに収益構造が複雑そうだったのに比べ、水道は基本的に利用者からの水道代徴収がほぼ唯一の収入源だ。
- また、ニーズの点からも水道はdefendしやすいと判断された。インフラ案件は動く金額が大きいことから、通常はプロジェクトの必要性について長々と説明しなければならないが、水道なら専門家でなくとも必要でないわけがないと分かる。
- 上記2点以外にも、NYCなので、人口(≒利用者数)や経済状況を心配しなくていいという点もプラスの判断材料だった。
米国インフラ・ファイナンス(1)
米国インフラ・ファイナンス(2)
米国インフラ・ファイナンス(3)
米国インフラ・ファイナンス(4)
米国インフラ・ファイナンス(5)
米国インラフ・ファイナンス(6)(完)
米国インフラ・ファイナンス(1)
春休みの集中講義『米国におけるインフラ・ファイナンスと地方債市場』がやたらと面白かった。月曜から金曜まで毎日、朝9時から夕方6時まで講義があり、なか日の水曜に中間試験、金曜には最終プレゼン(グループ発表)が課されるという、文字通り集中力を要求される一週間だった。面白かった理由を考えてみると:
最終プレゼンは成績評定の対象となるため、他チームとは競合関係になる。にも拘わらず、終了直後から反響が大きく、わざわざメールをくれたクラスメートまであった。こういうのはアメリカ人のいいところかもしれない。休憩時間に、人気実力ナンバーワンの教授から個別に褒めてもらえたのも嬉しかった。
米国インフラ・ファイナンス(1)
米国インフラ・ファイナンス(2)
米国インフラ・ファイナンス(3)
米国インフラ・ファイナンス(4)
米国インフラ・ファイナンス(5)
米国インラフ・ファイナンス(6)(完)
- スクール1,2を争う人気教授の講義が、期待通り面白かった。 簡潔、明快、かつ話題のホットイシュー(シェールガスや医療事情)も取り上げるという離れ業。
- 入学以来はじめて、自分の職務経験と大きく関連する講義内容だったため、実務がある程度想像でき、かつ実体験との比較も出来て面白かった。また、気持ちに余裕もあった。
- チームメートに恵まれた。皆優秀な上にバックグラウンドがうまいことばらけていて(国際協力2名、ファイナンス1名、オペレーション1名、コンサルタント1名)、各々の専門性を発揮できるプレゼン内容だったため、今日のプレゼンはぶっちぎっていた(と思う)。
- 当初、韓国系3名、日本1名、米国1名という偏った民族構成が心配だったが、中国語ペラペラなアメリカ人チームメイトが思った以上に親アジア派で助かった。ちなみに彼女、世界トップランキングの外交大学院にも在籍する末恐ろしき24歳であるが、プレゼン準備中の雑談でウクライナの話題になった時、『ベルリンの壁崩壊の年に生まれたの』と言っていたのがショックだった(笑
最終プレゼンは成績評定の対象となるため、他チームとは競合関係になる。にも拘わらず、終了直後から反響が大きく、わざわざメールをくれたクラスメートまであった。こういうのはアメリカ人のいいところかもしれない。休憩時間に、人気実力ナンバーワンの教授から個別に褒めてもらえたのも嬉しかった。
米国インフラ・ファイナンス(1)
米国インフラ・ファイナンス(2)
米国インフラ・ファイナンス(3)
米国インフラ・ファイナンス(4)
米国インフラ・ファイナンス(5)
米国インラフ・ファイナンス(6)(完)
2014年3月13日木曜日
割引率(2)
「割引(ディスカウント)」という語感から、つい、何だかお得そうなイメージを持ってしまいがちだが、割引率とは事業(or 企業)価値がどれだけ目減りするかを表しており、割り引かれるのは事業(or 企業)価値である。つまり、有難くない。出来るだけ小さい方がいい。WACC(Weighted Average Cost of Capital)を使うことからも分かるように、割引率は「コスト」なのだ。
反対に、事業(or 企業)価値を増やすには、儲けが必要になる。横文字で「リターン」と言う。IRR(Internal Rate of Return)は、言葉の通りリターンの一種だ。ただし、割引率もIRRも金額ではなく『率』で表すことに注意。
利益(Profit)=売上(リターン)-経費(コスト)
から想像できるように、
コストよりリターンが大きければ(コスト<リターン)、事業(or 企業)は儲けている(NPV>0)。
コストよりリターンが小さければ(コスト>リターン)、事業(or 企業)は赤字だ(NPV<0)。
コストとリターンが同じとき(コスト=リターン)、事業(or 企業)は儲けても損してもいない(NPV=0)。言いかえると、リターンがぎりぎりコスト規模に耐えている(=損を出さない)状態だ。
つまり、先のエントリのステートメントは、正しくは以下のようになる。
『NPVがゼロの時、割引率とIRRは等しい。』
これが実際、計算でIRRを求めたい時、NPVから直接IRRを求めるのではなく、まずNPVをゼロにするような割引率を求めた後に、『今、NPVがゼロだから、この割引率は実はIRRと等しい』と心の中で呟いてから、割引率の数値をまんまIRRとして回答することになる。この、心の中のつぶやきがよく省略されてしまうため、先のエントリで紹介した『IRRはNPVをゼロにするような割引率』のようなステートメントが、矛盾しているにもかかわらず広く流布しているのだと思われる。
『IRRはNPVをゼロにするような割引率と等しい』
なら、正しいのだが。
反対に、事業(or 企業)価値を増やすには、儲けが必要になる。横文字で「リターン」と言う。IRR(Internal Rate of Return)は、言葉の通りリターンの一種だ。ただし、割引率もIRRも金額ではなく『率』で表すことに注意。
利益(Profit)=売上(リターン)-経費(コスト)
から想像できるように、
コストよりリターンが大きければ(コスト<リターン)、事業(or 企業)は儲けている(NPV>0)。
コストよりリターンが小さければ(コスト>リターン)、事業(or 企業)は赤字だ(NPV<0)。
コストとリターンが同じとき(コスト=リターン)、事業(or 企業)は儲けても損してもいない(NPV=0)。言いかえると、リターンがぎりぎりコスト規模に耐えている(=損を出さない)状態だ。
つまり、先のエントリのステートメントは、正しくは以下のようになる。
『NPVがゼロの時、割引率とIRRは等しい。』
これが実際、計算でIRRを求めたい時、NPVから直接IRRを求めるのではなく、まずNPVをゼロにするような割引率を求めた後に、『今、NPVがゼロだから、この割引率は実はIRRと等しい』と心の中で呟いてから、割引率の数値をまんまIRRとして回答することになる。この、心の中のつぶやきがよく省略されてしまうため、先のエントリで紹介した『IRRはNPVをゼロにするような割引率』のようなステートメントが、矛盾しているにもかかわらず広く流布しているのだと思われる。
『IRRはNPVをゼロにするような割引率と等しい』
なら、正しいのだが。
2014年3月12日水曜日
2014年3月10日月曜日
2014年3月9日日曜日
春休み映画日記
『南極料理人』
南極大陸ド真ん中での隔離された集団生活は、夏のキャンプ場と訓練所とドミトリーと異国での生活の、ちょっとずつを全部合わせたかのような――つまり、案外共感できる部分が多い映画だった。日本食に対する執着も、私にとってはごく日常的な光景だったり。1年間以上ずっと8人きり、というのだけは、さすがにマネできんと思ったが。
『舟を編む』
何か国内でたくさん賞をとったとネットで見たので、早速レンタル。キャラクター設定が極端なのは分かりやすくてウケがいいのだろうが、どうもストーリーを追うだけの映画だった気がする。終盤に異動してきた女性社員役の女優がまわりを喰ってるなあ、と思ったら、最近国際映画祭で賞をもらったばかりなのだそうだ。
『敵こそ、我が友~戦犯クラウス・バルビーの3つの人生~』(2008年)
ヴィシー政権下のフランスで虐殺を指揮した元ナチ将校が、戦犯にも拘らず共産党狩りに利用価値を見出した米国CIAの庇護を受け、戦後南米ボリビアに渡りテロ、弾圧、拷問技術を右派・軍事政権に「技術移転」しながら生きながらえる、という話。1983年にやっとフランスへ引き渡されたが、刑務所内で病死しまんまと天寿を全うした。
ナチ時代の虐殺は親衛隊内の命令によるもの、つまり、非人道的だったかもしれないが法的には合法――傀儡とは言え当時のフランス政府がユダヤ人狩りに協力していたことも忘れてはならない――だったとしても、戦後の地下活動は弁解の余地が無かろう。テロや拷問技術の専門家にはいくら対価が高くてもなりたくないものであるが、彼がこれだけ長い間生きながらえたことからも分かるように、そうした技術は情けないほどに需要があるのだ。英語とフランス語とスペイン語が入り乱れ、画に集中しづらいドキュメンタリー映画だった。
◇ ◆ ◇
『日本のいちばん長い日』(1965年)
少し前に、226事件を描いた映画『226』(1989年)を観る機会があり、ふとこの映画のことを思い出した。御前会議で敗戦が決まってから玉音放送までの24時間(=いちばん長い日)に焦点を当て、一般にはもうあまり記憶されていない陸軍の一部が起こしかけ、結局失敗したクーデター「宮城事件」の顛末を描く。
何年も前に初めてケーブルTVで目にした時は額面通り歴史映画として鑑賞したが、今回は“官僚映画”だなと思った。表向きは“国体護持”(=天皇制の存続)が最重要だと言いながら、天皇の意向に反し本土決戦を主張してみたり、通らぬと分かるや事もあろうか天皇の寝所があった御文庫に銃口を向けてみたり、国民により大きな犠牲を強いる本土決戦が必ず全国民から支持されるはずだと本気で考えていたりーー階級は将校ながら、陸軍省の一介の課員に過ぎない首謀者たちが、どうしてこうまで筋が通らぬオメデタイ計画が実行できると思ったのか、ごく自然に疑念がわく。
現在の目線で見ると、つい「それは陸軍が愚かだったから」と結論づけたくなるが(勿論一定程度は正しいだろうが)、実はこうした内部完結型の世間知らずな全能感と組織保全本能(※)こそが官僚の本質なのであり、この映画に描かれる愚かなやり取りとそう大差ない非生産的な議論が、コスト意識ほぼ皆無な人々によって今日も至る所で繰り広げられているのである。
(※)ポツダム宣言は帝国陸海軍の武装解除も求めていたので、受諾はすなわち彼らの仕事だけでなく帰属組織そのものの消滅を意味した。御文庫に銃口を向けたことからも分かるように、恐らく無意識にせよ本音では天皇制よりも陸軍省の存続の方が最大関心事であったに違いない。
2014年3月7日金曜日
2014年3月4日火曜日
ウクライナ
欧州東部~ロシア情勢は普段からウォッチしているわけではないのでニュースの裏側はほとんど見えないが、他国領土内に侵攻しておいてその国が降伏しなければ攻撃するという最後通牒は、確かにいつか見た冷戦時代の大国のむき出しのエゴのように見える。冷戦時代にアナロジーを求めるとすれば、米国大統領がなめられていることが遠因にあるという意味でキューバ危機を思い出させられたが、どうか。
逆にちょっと違ったのは、最初の侵入部隊に国旗を付けず“謎の武装集団”を装ったことだ。その微妙な遠慮は、対テロ戦争ばかりが流行って国家間紛争は過去の遺物となりつつある21世紀だからなのか、それとも色々と不具合はありながらも何とか責務を果たし終えたオリンピック開催国という立場をちょっとは考えたからなのか。いずれにしろ、時代遅れなことをしようとしていることに変わりはなく、長期的な成功など見込めないことくらい分かっているだろうから、どこに落としどころを見つけて軟着陸させるのか、ロシアの独裁者の政治手腕が問われることだろう。そしてEUは大丈夫だと思うが、米国がそれに着いて行けるかどうかもポイントとなりそうだ。
逆にちょっと違ったのは、最初の侵入部隊に国旗を付けず“謎の武装集団”を装ったことだ。その微妙な遠慮は、対テロ戦争ばかりが流行って国家間紛争は過去の遺物となりつつある21世紀だからなのか、それとも色々と不具合はありながらも何とか責務を果たし終えたオリンピック開催国という立場をちょっとは考えたからなのか。いずれにしろ、時代遅れなことをしようとしていることに変わりはなく、長期的な成功など見込めないことくらい分かっているだろうから、どこに落としどころを見つけて軟着陸させるのか、ロシアの独裁者の政治手腕が問われることだろう。そしてEUは大丈夫だと思うが、米国がそれに着いて行けるかどうかもポイントとなりそうだ。
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