「割引(ディスカウント)」という語感から、つい、何だかお得そうなイメージを持ってしまいがちだが、割引率とは事業(or 企業)価値がどれだけ目減りするかを表しており、割り引かれるのは事業(or 企業)価値である。つまり、有難くない。出来るだけ小さい方がいい。WACC(Weighted Average Cost of Capital)を使うことからも分かるように、割引率は「コスト」なのだ。
反対に、事業(or 企業)価値を増やすには、儲けが必要になる。横文字で「リターン」と言う。IRR(Internal Rate of Return)は、言葉の通りリターンの一種だ。ただし、割引率もIRRも金額ではなく『率』で表すことに注意。
利益(Profit)=売上(リターン)-経費(コスト)
から想像できるように、
コストよりリターンが大きければ(コスト<リターン)、事業(or 企業)は儲けている(NPV>0)。
コストよりリターンが小さければ(コスト>リターン)、事業(or 企業)は赤字だ(NPV<0)。
コストとリターンが同じとき(コスト=リターン)、事業(or 企業)は儲けても損してもいない(NPV=0)。言いかえると、リターンがぎりぎりコスト規模に耐えている(=損を出さない)状態だ。
つまり、先のエントリのステートメントは、正しくは以下のようになる。
『NPVがゼロの時、割引率とIRRは等しい。』
これが実際、計算でIRRを求めたい時、NPVから直接IRRを求めるのではなく、まずNPVをゼロにするような割引率を求めた後に、『今、NPVがゼロだから、この割引率は実はIRRと等しい』と心の中で呟いてから、割引率の数値をまんまIRRとして回答することになる。この、心の中のつぶやきがよく省略されてしまうため、先のエントリで紹介した『IRRはNPVをゼロにするような割引率』のようなステートメントが、矛盾しているにもかかわらず広く流布しているのだと思われる。
『IRRはNPVをゼロにするような割引率と等しい』
なら、正しいのだが。
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