オンキャンパスの説明会に、『ピースコーのビジネス版』を掲げる非営利団体が来ていた。MBA(それもトップ校ばかり)の卒業生を集め、新興市場の中規模企業に最長18か月間派遣し、収益増を目指すのだそうだ。留学生でも、米国でMBAを取得していれば参加できるのだとか。個人的に草の根の現場体験は既に有るので参加意欲があったわけではなかったのだが、代表が元OPIC総裁だと言うので興味本位で出てみた。
質問タイムに、これまでなら私自身の経験に引っ張られ、つい派遣される側の視点で質問をしてしまうところだったのだが、今回はふと、プログラム運営側の戦略が気になった。というのも、派遣されるMBAたちは現地で経営アドバイスをして企業を成長させるのが仕事なのに、団体の運営費は基本的には寄付に頼っており事業収入がないため、どんなに業績が上がってもそれが団体の収支には反映しないというのだ。これでは寄付金が途絶えたら事業継続は難しく、Sustainabilityに疑問符が付くのは避けられない。経営戦略コンサルタントと言えば通常なら荒稼ぎできる業種なわけで、たとえば、受入企業から割安でもいいからコンサル・フィーを徴収するとか、人だけでなく資本も出して、きっちりリターンを回収するとか。他人に成長のアドバイスをしている割には、自分たちの成長戦略についての言及がないのが、気になって仕方なかったのだ。
もっとも、そうした歯痒さはこの手の団体にはよくあることなのでわざわざここで書くほどのことでもないかもしれないが、ちょっと新鮮だったのは、自分がそんな質問を思いついたということだった。営利であれ非営利であれ、企業であれNGOであれ、組織たるもの明確なビジョンを掲げるだけでなく、それを実現するための
成長モデルを築いていくことが必須なのだと毎日毎日叩き込まれているのが、だんだん脳に馴染み始めているということなのかなと思った。言い方を間違えば嫌味にもなる質問だったが、ビジネスライクにさらっと質問できた自分に我ながら感心した、という話でした(笑 一応、先方も"Good question."と褒めていたし。
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時間の都合上、質問機会が限られたため参加者(現地に送り込まれるMBAたち)の視点での発言はしなかったが、フィリピンでのボランティア経験から言って、事業/活動資金を持たずに現場に入りアドバイスだけするってのは、想像以上にやりづらいものだ。受け入れる側は身銭を切っていないから、アドバイザーの話など聞いても聞かなくてもいい、という程度のものだし、人や資金の投入を必要とする提案などしようものなら、やらなくて済むエクスキューズ探しに全力を挙げるのではないか。そんなことなら、いっそ受け入れ企業に報酬を払ってもらった方が色々言いやすいということもあるかもしれない。さらに資本まで出せばアドバイスに一定の強制力が生じるから、話は確実に聞いて実施してもらえるようになる一方で、アドバイスする方にはその分の責任も生じてくる。そこまで考えた上での、現状の派遣方法であるなら問題ないのだが。