表2
インターネット普及率 都市人口率 1人当たりGDP
(%) (%) (ドル)
① 55.7 67.6 5,770
② 21.0 32.3 3,252
③ 6.0 62.7 1,363
④ 5.6 48.1 1,636
統計年次は、インターネット普及率が2007年、都市人口率が2005年、1人当たりGDPが2006年。
ICT Statistics Databaseなどにより作成。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
まず、正答の導き方は、おそらくこんなところだろう。
1)最初に4カ国を2つのグループに分ける。3つある指標のうち、一般的に受験生が目にしたことがあるはずのものといえば「1人当たりGDP」になるかと思うので、右端の欄を見ながら{①、②}と{③、④}の二つに分ける。
2)次に、4カ国のどれが上位グループ{①、②}で、どれが下位グループ(③、④}なのかを考える。何となくでも、上位2つがタイとマレーシア、下位2つはフィリピンとインドネシアかな。と見分ける。
3)最後に、①と②のいずれかがマレーシアで、いずれかがタイ、となったところで「都市人口率」または「1人当たりGDP」を見比べて、マレーシアの方が上のはず、と知っていれば正解にたどり着ける。
ステップ2)までは、おそらくそれほど難しくない。問題は3)で、私は間違えた。予備校のサイトなどものぞいてみたが、同様に間違えるとしたらステップ3)であろうとのこと。自分が間違えたから書くわけではないが、この問題、どうも以下の諸点でイマイチだと思う。
●特性の似通った国を判別しなけれならない
●しかし、指標は馴染みの薄いものである上に、出典も信憑性も「?」
●メインの指標(=ネット普及率)は、おとり
第一点目について、東南アジアで経済成長や開発の"優等生"を選ぶとしたら、シンガポール、タイ、マレーシア、逆に"劣等生"といえば何といってもフィリピ――それくらいのイメージは受験生に期待してもいいと思う。しかしだからといって、ひとつずつの国についてGDPのおよその額や、域内の相対的な順位を記憶してなきゃなんないというのは、センターにしちゃ細かすぎないか。
第二点、仮に百歩譲って、どれか1つでも、1人当たりGDPのおよその額を覚えていたとしよう。出典の年を見てほしい。2006年……もしもーし?今年は2010年ですよ~!受験生てのはね、一度覚えてもぎりぎりになって最新データが出れば、覚えなおしてくるものよ。どうして最新のデータで出題してあげないのか。怠慢だ。
というのも、出題の4カ国はいずれも(少なくとも数字上は)勢いよく成長しているゆえ、現状入手可能な最新データ(2008年)とはかなりの開きがある。例えばIMFのデータだと、2008年1人当たりGDP(nominal)はマレーシア$8,118、タイ$4,116、インドネシア$2,239、フィリピン$1,845。仮にタイだけ具体的な数字(およそ四千ドル、とかね)覚えていたら、やはり①と②は判別しにくいんじゃないか?
では、「1人当たりGDP」に頼らずに正答を導けるか、といったら、その可能性はもっと低くなると思う。自分自身の受験が終わってからは一度も地理の教科書を開いたことはないが、「都市人口率」とか「ネット普及率」とか、ざっくり幾つかの国が(地域ごとの典型例などとして)載っていることはあっても、世界中の国のデータが一覧で載ってたりすることはないんじゃなかろうか?
いやいやセンター試験なんだから、知らなくても類推できるはずだ、と思っても、『ネット普及率と都市人口率』、『ネット普及率と1人当たりGDP』、『都市人口率と1人当たりGDP』のいずれについても相関関係が見られないわけだから、何を類推しろってんだー!何も類推できません。という落ちだ。
第三点。つまるところ、この問題は「1人当たりGDP」の東南アジア各国の相対的な順位を知っているかどうか。だけが決め手の問題であり、リード文から強調されている「インターネット普及率」は、よっぽどマニアでこのデータを事前に知っていたというケースを除いて、回答者の目先を惑わす「おとり」として使われていると言っていいだろう。あった、あった、こういうの。と、思うけれど、こういう本質を突いていない問題は出題者のレベルを疑わざるを得ない。学校ごとの入試ならどうぞご自由に、だが、日本中の受験生が受ける国家的行事の試験でコレでは、がっかりもするというものだ。
(つづく)
0 件のコメント:
コメントを投稿