週末、何気なくTVを観ていたら、あっちのチャンネルでも、こっちのチャンネルでも、日本人選手の名前が連呼されていて新鮮だった。さらに夜はアフリカ・ネーションズ・カップの決勝。ウガンダは去年、紙一重の差で本大会出場を逃したのだが、それでもアフリカNo.1を決める試合は特別なものらしい。街中でパブリック・ビューイングをしている大音量が、日曜の深夜かなり遅くまで響いていた。
ヨーロッパのチームに所属するサッカー選手にしろ、メジャーリーグの野球選手にしろ、日本人「しか」取り上げない日本語媒体の報道にはどうしようもない違和感が付きまとう。中には大して活躍もしていないのに、『○○選手の△△(チーム名)』と、まるでその選手がチームの中心選手かのような言及のし方をしている場合まである。おいおい…と、偏狭な視点と、悪びれることなく誤解を招くような言い方をするプロ根性の無さ、軽薄さに、わが目(耳)を疑ってしまう。
しかし、時として、日本人選手が確かにチームの中心にいる場合もある。それは、常に自国の選手にしかスポットライトを当てない日本語媒体の記事・番組からではなく、ちゃんとチームの全体像を見せてくれる海外の中継、報道からの方が断然ダイレクトに伝わってくるものだ。
土曜の香川選手と宮市選手は、まさにそれだった。もっとも、ここ最近キレキレの香川選手が中継で名前を連呼されるのは、当然と言えば当然のこと。実況アナウンサーも、迷いなく名前を発音している。一方、土曜の試合がプレミアリーグのデビュー戦だった宮市選手は、味方が同点ゴールをあげるあたりまではほとんど名前を呼ばれなかったが、そのあとくらいから徐々に画面上の主役となり、あの惜しいシュートを放った頃にはアナウンサーも「ミヤイッチー!ミヤイッチー!」と連呼。次々に目の覚めるような攻撃に絡み、周りの選手から急速に信頼を得ていく様子、それに重なるような実況で、よく伝わってきた。
サッカー中継の観戦と言えば、去年の女子W杯もいい思い出だ。スポーツチャンネルで全試合生中継していたため、日本戦はもちろんのこと、激戦だった反対ブロックも観戦することができた。予選では、ただでさえマイナースポーツの女子サッカーで、馴染みのない日本人名――実況アナウンサーも発音に苦労している感じだったが、ドイツに勝ったあたりから取材も充実してきたのか、正しい発音でスラスラ名前が出てくるようになった。一番変わったのは「サマシーマ」→「サメシマ」になったことだったかな。決勝の翌朝、仕事関係のウガンダ人たち(←ほとんどがいいお歳のおじさま方)から山のようにお祝いメールが届いていて嬉しかったものだ。
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さて、アフリカ・ネーションズ・カップの決勝である。コートジボワール vs ザンビア。 ヨーロッパのサッカーをかじる程度にでも見たことがあれば、そりゃどう転んだってコートジボワールでしょーと思うのがフツーだ。有名なドログバ選手をはじめ、プレミアリーグやフランスリーグで活躍する選手がごろごろいるからだ。対するザンビアは、1人だけスイスでプレーする選手がいるものの、あとはみんな普段アフリカでプレーしている選手たち。試合前のセレモニーで両国の選手が横一列に映し出された時、思わずハッとした。民族的(≒遺伝子的)なものもあるのかもしれないが、背が高くがっしりとしたコートジの選手たちの横に立つと、ザンビアの選手たちは小さいというより――正直、栄養不足という言葉が思い浮かんだほどだった。
コートジボワールのユニフォームがまた、オレンジのピタッとした素材で出来ていて、余計ムキムキが強調されるのよね。
しかし、ザンビア代表が強豪のセネガル、ガーナを破って決勝まで上がってきたことは、アフリカ中から、賞賛だけでなく感慨も呼び起こす出来事だった。というのも、私自身数日前まで知らなかったのだが、ザンビア代表には1993年、試合に向かう飛行機が墜落し代表メンバーのほとんどを一時に亡くすという痛ましい過去がある。その墜落現場が、今回開催国のガボン(共催赤道ギニア)の沖合だったのだそうで、ザンビアの人々はもちろんのことだろうが、アフリカ中の事故を記憶する人々が、心情的にザンビアを応援する雰囲気がそこはかとなく漂っていた。(――そうは言っても、現実にはコートジボワールでしょう、とも、また、誰しもが思っていたがと思うが。)
結果は、互いに何度か決定機がありながら決めきれず、延長戦も無得点のままPKへ。そこでも5人ずつ蹴っても決まらず、サドンデスになってからの3人目、ようやく決着がついた。まさかのザンビア優勝。この幕切れと言い、何となく、ザンビア代表にはなでしこを思い出させるところがあったように思う。悲しみを力に変えたところもそうだし、身体面でのハンディを“ポゼションと切り替えの早さ”という戦術でカバーしようとするところも似ていた。
ザンビアチームが球を奪う瞬間の動きというのは、素人目にも分かる、めちゃくちゃ早い切り替えっぷりだった。フツー、どんなに切り替えを意識しているチームでも、味方がボールを持ってから全員の向きが変わるまで、ひと呼吸あるように思う。それは、味方がボールを奪うところを目で見て確認し、「あ、味方が取ったな」と思ってから実際の動作に移るまでの、止むを得ないタイムラグだと思うし、そのタイムラグの長さが選手によって微妙に異なることから、遠目にはどうしてもバラバラと向きが変わっていくように見える。しかし、ザンビア代表は、全員が瞬時に向きを変え走り出していた。その様は、画面で見ているとまるでピッチ上に“全員一斉切り替えスイッチ”でも付いているかのようだった。
そんな見事な動きを随所に見せたザンビア代表だったが、試合全体を通してみれば、やはりコントロールしていたのはコートジボワールの方だったように思う。個々の選手のボールを持ってからの速さ、突破力は、これもまた素人目にもはっきり、格が違うことが分かった。それでも勝ったのはザンビア。ドラマチックな決勝を見届けたら、もう夜中の1時半だった。
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香川、最高ですよね!もっともっと世界基準になってほしいです。
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ウガンダではプレミアリーグが圧倒的人気なので、みんなにもっとブンデスリーガも見て!と言いたくなるよ。
この間、試合前に「前節のおさらい」的な番組をやってたんだけど、香川選手は何と大トリで「さあ、皆さんお待ちかねのアノ選手です」って紹介されてた。日本に伝わってるよりもっとずっとエライことになってる気がするよ。