2014年7月22日火曜日

ブランド力


セーフガード担当者の話を聞く機会があった。「環境面、社会面のケアはブランド力の一部を成すものだと思う。」というコメントに、言い得て妙だと思った。開発に携わっていると、この方面は仁義なき戦いの様相を呈することがしばしばあり、平気で人でなしのような言われ方をされたりもするので、間違いなく避けられるのなら避けたい仕事のひとつなのだが、『ブランド力』構築のための仕事、と思えれば少しは辛抱しようという気にもなれるかな。


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まともな開発金融からお金を借りるためには、環境面・社会面をきちんとケアしなくてはならない。具体的には、ダムや道路を例にとるのが分かりやすいと思うが、工事によって生態系が破壊されないように計画を工夫したり特別な対策を取ったり、また土地の立ち退きがあった場合には相応の補償をしたり、といったことが求められる。常識的に考えて当たり前のことように感じるが、これが実際にやろうとすると、保護や補償を生業にしている人たちもいたりなんかして、妥当な落としどころを見つけるのは容易ではないし、残念ながら最終的にはゴネたもん勝ちのようなところもある(だから生業として成り立つ。たとえば、土地の補償をふんだくるプロが住民にキックバックさせているような噂は現場では始終聞こえてくる)。

ちなみに、開発援助案件の場合、こうしたケアは通常、お金も含めて被援助国側の責任において行うことになっている。が、援助機関にもお金を出す者としての責任があろうとの理屈で、援助機関に直接クレームが付いた場合はそれでそれで対応するのが一般的だ。先進国目線で見ると、『弱者を保護してあげてる』という言い方も成り立つかもしれないが、開発途上国側にしたら、当のその先進国こそが自国で公害問題や強制立ち退き繰り返して発展してきたというのに、自国の開発がひと通り終わった今頃になって『ケア』のルールを『勝手に』作って他国に押し付けているーーという言い方も成り立つ。実際、こういう『ケア』を巡る(多くの、というより、ほとんどの場合、先進国の)論争が開発を何年も遅らせている事例と言うのは世界中に山ほどあるのだ。これが不公平でなくて何なのかと、現地で電気や水が不安定な生活を何年もすればそう思うようになるのが自然というものだ。


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冒頭の『ブランド力』とは、きちんとケアしてまっせ~という意味合いだけでなく、アノ機関が金を出すということはきちんと審査してケアもばっちりで、途中でその手の団体にクレームをつけられて事業が止まってしまうなんて可能性も限りなく低い、だからウチも一緒に金を出そうーーと、他の金融機関が思ってくれることまでを指している。自身が出す金額が小さくても、結果として大きな融資額を引っ張ってくる呼び水になれる、この無形の力こそがブランド力である。



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