2014年4月6日日曜日

明治40年と山つながり

『吉原炎上』(1987年)

以前、2007年版を観たことがあり、同じ頃『吉原花魁日記』(1926年、森光子)という本も別途読んで、吉原遊郭の大まかな様子を知った。その2つに比べると本作はストーリーが弱く、吉原の風俗をきちんと紹介しているわけでもない。公開当時、大物女優が脱ぎまくっていることが話題となったそうだが、確かにそれに尽きる映画。

ちなみに、『吉原花魁日記』 は大正末期の花魁本人によって書かれた日記が、吉原脱走後に出版されたもの。知性を感じさせる観察眼で綴った非人道的な日々や、書くことで己を保とうと試みたあたりが、『アンネの日記』に通じるものがあると思った。



『剱岳 点の記 』(2009年)

長期間山に入って撮影したことが話題になったそうだが、常にカメラの反対側に大勢の人たちがいることを意識させられるようなところがあり、肝心の孤独感が表現しきれていないと思った。というのも、ただでさえ大きな山に1-2パーティしかいないうえに、地図が無い状況というのは、想像を絶する孤独感であるはずだと思うのだ。恐怖に直結するレベルの。作中では壮大な山の景色に何度もクラシック音楽をBGMで重ね、風の音だけの場面でも取ってつけたようなBGM用に作られたような音だけで済ませてしまっている。この状況で聞こえる風の音は、こんな音ではないよな・・・などと思いながら観た。

また、明治時代の話なのに、登場人物が全く明治っぽく見えない。その点は、ちょうど同時期(明治40年頃)を題材にした『吉原炎上』の方が一枚上手か。ラストシーンの手旗信号を読むのが速すぎて台無しだなあと思っていたら、実はあの2地点、実際にはかなり距離があり、手旗信号が見えるはずもないのだとか。制作陣にちゃんとした山好きを2,3人入れておくべきだった。



『クライマーズハイ』(2007年)

冒頭、日航ジャンボ機不明の一報からフロア中の社員が一斉に動き出すシーンは映画史に残る名場面ではないかと思う。凄い臨場感だなあと思ったら、エキストラを一切使わずに名もなき端役まですべてプロの俳優を配して撮ったのだとか。納得。

事故原因のスクープを打つか打たないか逡巡する場面で、敢えて「出来過ぎちゃいませんか、この話…」と言わせた脚本に拍手。事故調の報告には致命的な矛盾点があると指摘されて久しい。作中ではスクープを取り損ねた主人公だが、実は誤報を打たずに済んだのかもしれないのだと匂わす。この他にも、地元消防団が事故当夜のうちに現場を特定していながら登れなかった話を出すなど、あの事故の『何故』に配慮した作りなっている。本当なら、マスコミが大挙して押しかけたため救援活動に支障をきたした点にも触れるべきだったと思うが、主人公が新聞社のためそこは割愛されていた。

ネット上の感想を見ていると、1985年と現在を何度も行き来する話が分かりにくかったとのコメントが散見されたが、日航ジャンボ機墜落事故の時系列経緯を知ったうえで観たからか特に違和感はなかった。登山もワイシャツで登るのと(1985年)、クライミング装備(現在)とでは混同しようもないので、この所感は当たらないよなあと思った。




0 件のコメント:

コメントを投稿