2012年8月13日月曜日

ウガンダの金メダル

ロンドン五輪最終日、ウガンダのキプロティチ選手が ま・さ・か の金メダル!しかも男子マラソン。全世界がLIVEで見守る中、目が点のツルをあしらった三色の国旗を掲げ、ゴールテープを切る姿は、さすがに胸に迫るものがあった。

※Kiprotichの表記を、現地語発音に合わせ「キプロティチ」に変更。

ウガンダ人でさえ期待していなかったせいで、地上波の中継はなし。陸上は男子5000mのキプシロ選手が有名なくらいで、キプロティチ選手は文字通り無名の存在だった(数人しかいない選手団の1人だというのに)。むしろ、この間の東京マラソンで3位に入ったため、在留日本人の間ではちょっとした有名人だった(日本から「3位がウガンダ人だったよ」って連絡が来たりするのです)。でも、まさか勝つとは。

今日のレースは「Kiprotich」がいっぱいいましたね。中継で確認できただけでも3人。優勝したウガンダのスティーブン・キプロティチ選手の他、途中まで先頭を引っ張っていたケニヤのウィルソン・キプサン・キプロティチ選手、残念ながら途中棄権だったフランスのエイブラハム・キプロティチ選手。ウガンダでは東部ケニア国境の辺りに多い名前なんだそうで、たぶん3人ともルーツは同じなんだろう(部族とか、クランとか)。フランスのエイブラハム選手は分からないが、ウガンダのスティーブン・キプロティチ選手は帰化選手などではなく、エルゴン山のあるカプチョルワ県出身の、正真正銘のウガンダ人選手とのこと。

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日本人目線で見たら、ケニヤもウガンダも“同じようなもん”かもしれないが、ウガンダから見ればケニヤは大国だ。陸上競技だって、ケニヤやエチオピアみたいに強化すれば、本当はもっとずっと強いに違いないのに、現状は個々人の努力にだけ寄りかかっている状態だ。キプロティチ選手は、スパートをかけた37キロあたりまで、ずっとケニヤ人選手2人と並走していたが、2人が揺さぶりをかけている感じが画面からも伝わってきて、実際35キロ過ぎから徐々に離され始めた時は、何とも居た堪れない気分になった。

「気の優しい」ウガンダ人1人と、「プライドが高く」実績も抜群のケニヤ人2人じゃ、どうにも分が悪い。ここに暮らす実感としてつくづくそう思った――だからこそ。(BBCは油断してこのレース最大の山場を中継し損なったが、)離されかかった数十メートルをあっという間に追いつき、鮮やかに置き去りにしたシーンはたまらなく痛快だった。本当なら、もっと多くのウガンダ人に、このシーンを見て欲しかった。


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沿道にお国からの応援もなく(ケニヤ国旗はパラパラと見えていたか。日の丸は多過ぎるくらいよく目立ってた)、状況を伝えてくれるコーチもいないのか何度も何度も後ろを振り返って気にする様子に、思わず、いじらしいなあ、と。ウガンダ人の気の優しさが出て、コケたりしませんように、と祈りながら見守ったフィニッシュだった。

ウガンダはミュンヘン五輪以来、40年ぶり2個目の金メダル獲得だそうだ。毎日量産されるメダルを見るのも楽しいが、ウガンダ人が一生に一度目撃できるかどうかの金メダルをウガンダで観たことは、間違いなく印象に残る出来事だった。

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