2011年1月5日水曜日

第3集 それはマンハッタンから始まった

以前もちらっと書いたが、この『映像の世紀20世紀』シリーズは、20世紀前半~半ばに時間を割き過ぎたきらいがある(その分、20世紀後半はベトナム戦争あたりで時間切れになっている)。二つの大戦の戦間期も、シリーズ全10回で20世紀を描き切るつもりなら、1回にまとめるべきであった。その場合、この第3集は『第4集 ヒトラーの野望』に吸収されてしまう位置づけだろう――などと勝手に想像したくなるほど、第3集の内容は、放映当初から率直に言って冗長に感じられるものだった。当時からもう何度も繰り返し録画を観ているが、この回は明らかに他の回より鑑賞回数が少ない。

まあ、そんな好き嫌いはさておき、この回を見直そうと思ったきっかけは、最近同僚に回してもらった雑誌に「今こそ1930年代に学ぼう」といった記事が載っていたからだった。1930年代とはもちろん、大恐慌後の世界を指している。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 

タイトルの『それはマンハッタンから始まった』の「それ」が指す内容は明示的には示されていない。しかし、番組構成からして、「それ」は、ひとつには第一次大戦後までには明確に形になっていた、アメリカの世界の大国としての繁栄への道であり、一方では大恐慌を境に転げ落ちていく第二次世界大戦への道のことでしょう。その両方が、マンハッタンに象徴されている、というほどの意味でしょうね。

今回、久しぶりに鑑賞してみて印象に残ったのは、実は本編以外の部分だった。本編を見ながら何となく、20世紀最大のCatastropheが始まったのがマンハッタンというけれど、そういえば21世紀の争いも、あの日(9・11)、マンハッタンから始まったんだよなあ――などと考えていた。ちょうどそこへエンドロールが流れ始め、思わず息をのんだ。バックに現代の――といっても放映当時の1995年の――マンハッタンの映像が使われており、ワールドトレードセンターのツインタワーが大写しに…悪夢から覚めたと思ったのに、実はまた(まだ)悪夢の中、といった身震いするようなイヤな感じが――これはもう制作者の意図とは完全に別次元の話ではあるけれど――皮肉なくらい見事に出ていた。

もうひとつ、興味深かったのが、1921年の映像。当時の皇太子(後の昭和天皇)がヨーロッパ5カ国を訪問、とある。なぜ戦争の爪痕深い、明らかに国力の落ちている時期のヨーロッパだったのだろうか。なぜ、当時欧州から完全に覇権が移行していた、太平洋をはさんだ隣国を見に行かなかったのだろうか。訪問先を選んだのは恐らく本人ではないのだろうが、この時もし“大元帥”がマンハッタンをひと目でも見ていたら、果たして…と思うのは私だけではなかろう。ちなみに、昭和天皇の初訪米は1975年のことだったそうな。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 

最初に紹介した雑誌は経済誌なのだが、筆者が結局のところ何を「学べ」と言っているのか、正直よく分からなかった。数字の出し入れでものを論ずるのは、相変わらず苦手だ。ただ、1930年代に起きたことを考えると、恐らくは「それらを反例にせよ」との示唆に違いない。極端な保護主義や排他主義は勿論のこと、結果的に大恐慌を乗り越える術が「戦争」であったことまで含めて――ただ一方で、率直なところ、時代が転げ落ちるときは誰にも止められないものだな、という点に当時との類似性を感じてしまうのは、悲しいかな、仕方がないんでしょうね。もっとも、今「転げ落ちて」いると言ったのは、もっぱら我が国のことを念頭に置いてのこと。伸びシロのある国に、そんな暗い雰囲気はない。

話がだいぶ行ったり来たりになった。あまり観ていない回ゆえ、膨らますのに苦労したということでご容赦を。

0 件のコメント:

コメントを投稿